今年の大変革としては、開催時期の変更があります。今まで12月に開催してたWISSを9月開催に変更しました。これによってWISSの査読結果が届いてからインタラクションへの投稿期限への時間が十分にでき、全体としてHCIに関する高品質な論文を多数輩出できるようになることが期待されています。詳細は予稿集の巻頭言に詳しいのでご参照ください。
次のインタラクション2019でどのような結果が出るか楽しみです。伊藤もインタラクション2019のPCメンバーなので全体的な傾向は見れるはず。
時期が早まることで投稿件数は減った印象。今年こうなるのは仕方がないとして、来年どうなるかで時期を変更することの正確な影響がわかるでしょう。
投稿件数は若干減ったとはいえ、査読していても感じていたのですが、個々の論文のレベルはむしろ上がっている気がします。登壇発表の完成度も非常に高いものが多かったです。
全体の印象としては、
- (3Dも含めて)プリンタを用いた研究、切ったり折ったりして何かを作るものが印象に残った。
- 視覚障碍者支援の研究が登壇で2件も発表されていた。CHIでも多めの印象があったが、このあたりの話は眼鏡と同じレベルで社会に普及するまでやることは山積みだと思います。
- HoloLensを使った研究はいくつかあったが、思ったほど多くもなかった。
- 2020年からプログラミング教育必修化ということで、ここに焦点を当てた研究とかもまたでてくるかもしれないなと感じました(ビジュアルプログラミングとかレゴみたいなブロック型のツールはもう出尽くしている感もありますが)。
- 学生さんが筆頭でロング2本登壇発表というのはちょっと記憶がないです(お茶大池松さんのOhmic-StickerとCopernican-Touch)。どちらもハイレベルな内容と発表で来年以降もどんなものが出てくるか楽しみです。
- 五十嵐先生の「回答における偏りを考慮したクラウドソーシングの早期終了手法」という発表は前に少し調べようとしていた内容だったのでとても勉強になった。直接インタラクティブシステムを提案しているわけではないが、採録時コメントに書いてある通り、「HCI研究においてクラウドソーシング技術が積極的に取り入れられている現状」重要な課題を解いている論文。WISSはインタラクティブ性にとてもこだわる会議だが、この論文が採択されてよかったと思う。
- 個人的にヤバいと思ったデモは、東工大小池研の「Balloonygen: 変形可能な全天球画像表示部分を備えた拡張テーブルトップディスプレイ」。
参加者数は150名強。これは昨年から微減(ほとんど変わらない)です。あと20人~30人多いともっとみっちり感があって盛り上がりが増すのですが、ここ数年はこれくらいの人数で安定している印象です。
最後になりますが、プログラム委員、運営委員としての5年の任期も無事(ほぼ)終わりました。これほどアクティブで楽しい会議もそうそうないし、自分にとっての財産になる楽しい経験をさせてもらいました。今後も一参加者としてこの場をもっと盛り上げられるよう支えていけたらと考えています。