1.Changing the World with Visual Analytics
1つ目はパデュー大学(アメリカ)のDavid Ebertさんによる講演。EbertさんはVACCINE(the Visual Analytics for Command Control and Interoperability Center)のディレクターだということ(可視化の会議でVACCINEの名前はかなり頻繁に見かけます)。
内容としては世界規模の課題を解決するための人間とコンピュータが意思決定する環境が必要で、そのためにVA(Visual Analytics)が重要になりますよ、というお話。何が重要かというざっくりとしたフレームワークを示しつつ、各論として研究所で実際に取り組んでいる研究プロジェクト(よそのかもしれないが)を紹介している感じでした。如何にもアメリカらしいおっきな枠組みの話をされましたが、個々の研究事例はよくある話です。
8つのグローバル・チャレンジ(by London Futurists)
- 健康(Global healthなので国際保健医療とか国際公衆衛生とかそっちの意味かな)
- 水
- エネルギー
- 環境(森とか)
- 食料
- 教育
- セキュリティ
- 貧困
グローバルチャレンジを解決に、ビッグデータやIoTは役に立つが、ビッグデータ解析以上の何か、機械学習以上の何かかが必要である。それがビッグデータVAだというお話。
Visual Analyticsに必須の機能として以下をあげている。
- インタラクティブで統合された探索環境
- User-guided and perceptually-guided(どう訳せばよいと思う?)
- ユーザによる認知と人間の認知を強化する自動解析のバランス
- 発見と意思決定の実現
- 量的な、信頼性できる、再現性のある証拠の提供
VAの上記機能を実現すべくHCCD(Human-Computer Collaborative Decision-Making Environments)を提案している。そのために必要なものとして、以下を上げている。事例を交えつつもう少し掘り下げた話もしていましたが、省略。
個々の事例としていろいろあげていましたが、その中からいくつか自分に関係しそうなものをピックアップしておきます。
Health & Public Safetyに関するプロジェクト:
- Coast Guard Search and Rescue Visual Analytics (cgSARva)
- Linked Animal-Human Health Visual Analytics (LAHVA)
- Pandemic Influenza Modeling and Visualization (PanViz)
Social Media VA for Public Safetyに関するプロジェクト:
- Social Media Analytics Reporting Tool (SMART)
2.Requirements and Recent Directions in Augmented Reality Visualization
2つ目は高麗大学校(韓国)のGerard Jounghyun Kimさんによる講演。
ARを情報可視化のテクニックとして見た時に、必要なもの、現状、課題、将来の方向性についてのお話でした。が、紹介されている事例がものすごく古いものが多く、最新の動向はあまり押さえられていない印象を受けました。
ARの特徴とAR空間での可視化における課題を以下のように指摘し、具体例とともに挙げています。そのうえで必要条件として(Naturalness/Visibility/Stability)の3つを提案しています。
- 特徴1:3次元の実世界に人工的なオブジェクトを追加
- augmentedされた結果が不自然なものとなることがある
- 3次元に見えない、正しい場所にあるように見えない
- 正しいアフォーダンスやメタファを持たない
- 実世界オブジェクトやAugmentationが重なる(前後関係の判断が難しい)
- 特徴2:3次元の実世界は動的に変化
- Augmentationが濃淡や明るさの変化のせいではっきりと見えなくなる
- Augmentationが消える(理由もなく消えてはいけない)
- 特徴3:3次元の実世界のオブジェクト配置はそうそう変化しない
- Augmentationの適切な配置、サイズ決めが難しい
- 実世界オブジェクト群の構造を表現するのが難しい
- 特徴4:ターゲットとなる実世界オブジェクトは特別なコンテキストを持ちうる