先日、すみだ北斎美術館に行ってきました。
葛飾北斎という人は、若い時から波をモチーフにした絵を描き続けていて、有名な神奈川沖浪裏が書かれたときは70歳前後だったといわれています。NHKがサーフィンで使うような大波を超高速度カメラで撮影するということをやっていたのですが、北斎の神奈川沖浪裏はその映像と本当にそっくりに描かれていました。
つまり、葛飾北斎という人は、世界の隅々まで、高速に高精細に観察し続けていた。そいういう科学者の目を持っていたといえると思います。そしてそのようにインプットした映像をアウトプットする時には、常に、如何に、見る人を驚かせるか、あっと言わせるかを主眼に考えていたわけです。その結果として、あのThe Grate Waveと呼ばれる富嶽三十六景における神奈川沖浪裏のような絵が生み出されたわけです。
我々研究者も、研究を続けるうえで、そのような2つの考え方を常に意識したほうが良いと考えています。成果が人にはなかなか伝わらないような地道な研究をしなければならないときもあるでしょう。ですが、それを人に見せるときには、見る人をあっと言わせる、楽しませる、そんなアウトプットの仕方をもっと意識してもよいと考えています(それは、単に見た目の問題ではなくて、ストーリ付けなど題材の調理の仕方、しゃべり方・語り口など多岐にわたると思います)。もっともっと意識的に取り組みたいです。